企業のWeb担当者に求められるもの
「自社製品やサービスのよさ」を本気で伝えられるのは、社内の担当者しかいません。これはIR情報や企業イメージなどを伝えるためのサイトでも同様で、「自社理解」が最初に来ます。Webをやっているとつい目新しい技術に目を奪われたり、他社のWebが気になりがちですが、条件反射的に行動しているだけではよいサイトになりません。Webのスキル以外の部分がかなり求められる仕事です。
今、企業のWeb担当者に求められる資質で最も重要なものは何かと問われれば、まず次の5つの理解と答えます。
- 自社の製品とサービス
- 経営理念、方針、自社の目指しているところ
- 顧客
- 競合
- 市場
「そのまんまマーケティングではないか」と思われるかもしれませんが、この軸がぶれていると何のための企業内Web担当かわかりません。Webサイトの制作目的によってはこれらの知識がなくとも、サイトそのものは作ることが出来ますが、Web活用とは程遠いものになります。「自社製品やサービスのよさ」を本気で伝えられるのは、社内の担当者しかいないからです。これはIR情報や企業イメージなどを伝えるためのサイトでも同様で、「自社理解」が最初に来ます。Webをやっているとつい目新しい技術に目を奪われたり、他社のWebが気になりがちですが、条件反射的に行動しているだけではよいサイトになりません。
スキル的なものでいえば、
- 社内調整力
- 対外折衝力
- 進行管理力
- 情報収集力
- 推進力
- Webの幅広い知識
といったものが上げられます。
Web制作も行うのであれば、最低限次の基本は必要となります。
- HTML,CSS
- ユーザビリティ
- アクセシビリティ
- ホスティング
- DNS
- ドメイン
運用目的が、「新規問い合わせを増やしたい」というような販促や営業的なものであれば、さらに以下の分野の知識やスキルが求められてきます。
- SEM(検索エンジンマーケティング)
- SEO(検索エンジン最適化)
- ウェブ広告の運用
- LPO(ランディングページ最適化)
- アクセス解析
- メルマガ
- SNS
WebやITのリテラシーがあること、実際のWeb制作ができること、進行管理ができる、折衝力、情報収集力、推進力などスキル的なもののほうが優先順位が高い職場もあるかもしれません。会社によっては一からすべて一人で作らねばならないというケースもあるでしょう。ただ、どんなにWebまわりのスキルや技術があったところで、自社の製品やサービス、あるいはIR情報などをアピールできなければ意味がありません。企業によりWebサイトの目的はそれぞれですが、自社の経営やビジネスに無関係のウェブサイトを作るという会社は稀です。
高度なスキルを持つWebデザイナー、Webプログラマー、Webディレクターと同じ仕事内容をすることを求められることもあるかもしれませんが、企業のWeb担当者として最も重要なことは、自社の製品・サービス・商売を熟知し、顧客を熟知し、社内の組織を熟知していることです。また、外部の制作会社に依頼してWebを制作する場合でも、対外的な窓口として、社内の見解をまとめておく調整力も必要です。
費用をかけてホームページを作るわけですから、デザインだけきれいなものがあればよいというのなら別ですが、新しい顧客の開拓や、既存の顧客のCSを高めるような効果を期待するのであれば、ホームページはまずしっかりとした「中身」が必要です。この中身に相当するコンテンツは、本来は自社の商売を熟知したものしか書くことしかできません。自社製品のサービスの特徴や魅力をどうやって伝えるのか、という点については外部のアドバイスをもらうこともできますが、それも自社の商売がどのようにして成り立っているのかがわかっていてこそです。
中小企業に限っていえば、社内に原稿執筆をしてくれる担当が見つかるとも限りませんので、自身で取材して執筆する、もしくは自分の原稿のチェックだけを関係部署に依頼するという方法をとる場合もあるでしょう。
実際にはWeb担当者がWebデザインや制作そのものをやる場合もありますが、企業内にいる担当者の多くは調整や根回しに使う時間のほうが多いのではないでしょうか。
少数精鋭で話をまとめて進めたほうが当然効率はいいわけですが、組織によっては必ずといっていいほど、
- 「俺はそんな話は聞いてない」
- 「そんなデザインはうちにはそぐわない」
- 「うちの部署の製品が目立っていない、早急に直せ」
- 「そもそも承認した覚えはない」
- 「うちの部署の製品の検索順位が低い。早急に上げろ」
等のご意見を頂戴することになります。
また納期については上から指示が下りているにも関わらず、各部署から原稿の提出や取材の協力などが一切得られないなどの苦境に陥ったことがある方もいるかもしれません。
何でもよいのであればWebサイトを作ること自体は一人でちゃっちゃっと仕上げてしまうことは出来ますが、会社で行う場合は関係部署への根回しや、キーパーソンを巻き込んで「会社として」web制作・運用に取り組むための体制を作ることが上記のような問題を防ぐ鍵となります。
Web担当者の多くは社内でWebについて詳しい存在なわけですが、そうではない人もうまく巻き込んでいくことが社内でうまくやっていくコツかもしれません。